ななころびやおき

何度ころんでも自然と立ち直ってる。生きるってきっとそんなもんだ。

バイオリニストの王の魅力

歴代のバイオリニストの中で最も素晴らしいと言われている演奏家に、ヤシャ・ハイフェッツがいらっしゃいます。


若い頃の人前で弾いた演奏があまりにも素晴らしく、それを聴いていた作曲家兼バイオリニストとして有名なフリッツ・クライスラーと同じくバイオリニストのエフレム・ジンバリストに「我々のこのバイオリンを今すぐ叩き割った方が良さそうだ(彼の演奏より随分劣っていて我々は必要ないという意味)」

と言わせたほど。


また、ほとんどのバイオリニストが劣等感からハイフェッツ病にかかったのだとか。(お笑いで言うとダウンタウン病みたいなもの)


演奏を聴くと、あまりに速いパッセージでも音程の狂いなく正確に弾いてらっしゃるので素晴らしいです。


が!


わたしには、その良さが全然分かりませんでした。


なぜなら、音質がキンキンしてる感じがするし、ストイックさゆえなのか、演奏にあまり情緒を感じない。特に柔らかい音質を好む人にとっては、

一 体  ど      

と思う人もきっといるのではないかと、、、、

(バイオリニストの王に向かって、弾けもしない癖に失礼ですね)


でも、最近『ブルッフ バイオリン協奏曲一番』のハイフェッツの演奏を聴き、あまりに素晴らしくて聞き惚れてしまいました。。

https://youtu.be/ITRj13YFV1I


特に、1楽章の部分では4:23〜のソロ演奏の素早く正確な半音階からのアルペジオで緊張感を持たせ、トゥッティ(全体演奏)の壮大さにしっかり繋げる所や、

3楽章の15:52〜の出だしの音の正確かつ歯切れの良さ。

ソロ奏者として全面に出すところは出し、

全体にバトンを渡したり受け取ったりして、全体もしっかり曲の雰囲気を壮大に演出している。


「オーケストラのみんなついてこいよ!」

「観客にいい演奏(音楽)を届けようぜ!」


と曲から感じ取れます。


何度聞いてもその美しさに感動してため息が出るほど。

ハイフェッツの演奏は、私なりに一言で表すと、『流暢』だと思います。

言葉でいうと、ネイティブな発音でかつ、その国の文化を知り尽くしていて、ユーモアや間を交えながらの奥行きを感じる会話。。


バイオリニストの王はやっぱり王だった。

と感じました。

きっと、私の芸術性を感じ取る力が足りていなかっただけのこと、だったのかもしれません。


これまでは、音質重視思考でオイストラフやナタンミルシティンが好きだったのですが(もちろん今も)、ハイフェッツの良さにも気づき、後世に聴き継がれるバイオリニストはやっぱり素晴らしいのだと改めて気付かされました。

これからも色んな方の演奏を聴いていこうと思います。